MAKERS UNLEARN 2026 | STEP 2 根源へ遡る | オンライン講義

技術哲学

「つくるとは何か」「技術とは何か」を哲学的に掘り下げる。テクノロジーの未来学で広がった問いを、ボトムから固めていく科目。

全8回・16時間
2026.8.17—9.14
開講中

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LECTURESアーカイブ

012026年8月17日(月)

イントロダクション──なぜいま技術哲学を学ぶのか

原島大輔(立教大学現代心理学部 映像身体学科)/七沢智樹

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ハイデガーは「哲学は歴史的な役割を果たし終えた」と述べた。ならばその哲学をテクノロジーに適用する技術哲学に何の意味があるのか——自らの足元を掘り崩す問いから出発し、ユク・ホイの技術多様性を鍵に応答する。「自己の条件は他者だった」という認識を経て、テクノロジーが加速させた普遍《論理》と忘却された普遍《倫理》の対比、そして惑星的課題へ。後半は受講生が「技術とは何か」を書き出すワーク。『遅刻の誕生』と和時計、コップの「技術のジレンマ」を挟みながら、「技術は発明されるのではなく、引き出される」という捉え直しへ。

記述学と規範学哲学の終わり技術多様性普遍論理と普遍倫理惑星的課題
022026年8月20日(木)

技術哲学とは何か──概念史から現代の議論まで

直江清隆(東北大学名誉教授)

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「技術=科学の応用」という理解を歴史から解体する概論。西洋では科学と技術は別の系譜で、結びついたのは19世紀後半——明治維新と重なる時期だった。テクニックとテクノロジーを分け、アリストテレス(自然の模倣・補完/円)、ベーコン(自然支配/直線的進歩)、マルクス(共同連関)と辿り、現代の技術決定論批判へ。ウィナーの低い陸橋、排除ベンチ、テーブルの形——人工物には価値が組み込まれている。

テクネーとテクノロジーリベラル/メカニカルアーツ自然の模倣・補完技術決定論批判人工物の政治性
032026年8月24日(月)

ハイデガーから「つくる」の意味を問い直す──道具、存在、技術への問い

岡田悠汰(東北大学 特任研究員)

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現代技術哲学の基礎を築いたハイデガーを、ハイデガー研究者がじっくりトレースする回。伝統的な「つくる」=質料-形相論(素材に理想の形を与える)を出発点に、道具の本質を有用性から信頼性へ裏返し、ゴッホの靴の絵が示す「隠れなさ=真理(アレーテイア)」へ。テクネーとは隠れているものを現れへともたらす知であり、ポイエーシスは花が咲くように自然がみずから立ち上がる動きも含む。後半は一転、現代技術=挑発の分析から総かり立て体制(ゲシュテル)へ。効率化そのものが目的と化し、人間も「人材」として用立てられる。AI時代に、つくることで世界を変えられるか——という問いで締めくくられた。

質料-形相論信頼性アレーテイア(隠れなさ)テクネーとポイエーシス総かり立て体制(ゲシュテル)
042026年8月27日(木)

技術を形作るもの──社会構成主義・アクターネットワーク理論/西田幾多郎の技術論

村田純一(東京大学名誉教授)

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日本の技術哲学を長年リードしてきた『技術の哲学』著者による回。「iPhoneが世界を変えた」式の技術決定論と、鉄砲を捨てた江戸日本のような社会決定論——その両極を退け、技術と社会は最初から結びついた一つの存在の二側面だとする二重側面説へ。自転車の成立史が示す解釈の柔軟性(いまAIはその渦中にある)、スピードバンプや低い陸橋が行為するアクターネットワーク理論を経て、西田幾多郎の「作られたものから作るものへ」に至る。作られたものは足がかりにも妨害物にもなる——矛盾的自己同一とは、創造性と失敗可能性の不可分性でもある。

技術決定論と社会決定論二重側面説解釈の柔軟性アクターネットワーク理論作られたものから作るものへ
052026年8月31日(月)

人はいかに技術によって形作られるのか──フェルベークのポスト現象学から考える主体性の意義

大家慎也(久留米工業高等専門学校 助教)

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フェルベーク研究で博士論文を書いた若手技術哲学者による回。フッサール現象学の一人称性と志向性を、スマホを手に取る個人ワークで体得するところから始め、「私→技術→世界」というポスト現象学の図式へ。超音波診断が胎児を「見える」存在にし「リスクとしての胎児」を生んだように、技術は知覚と行為に不可避の影響を与える——これが技術的媒介。しかし人間は被害者ではない。熟慮して技術を使い、なりたい自分を構想する道徳的主体化ができるし、作り手にとって設計とは物質を介した倫理の実施である。ワーク5連発で「使える哲学」を目指した実践的講義。

一人称性と志向性私→技術→世界技術的媒介道徳的主体化道徳的設計
062026年9月3日(木)

“つくること”の背景にあるもの──ユク・ホイの宇宙技芸論から考える技術の多様性

伊勢康平(東京大学東洋文化研究所 特任研究員)

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『中国における技術への問い』の翻訳者本人から学ぶユク・ホイ入門。文化の多様性が叫ばれる時代にテクノロジーだけが均質化している——だから各文化の宇宙論と結びついた宇宙技芸の再発明が必要になる。図と地のモデルで読む和魂洋才の失敗(テクノロジーは図ではなく地として展開した)、いまAIで起きている「地」の浮上、「宇」=空間・「宙」=時間という翻訳者ならではの語源談義を経て、後半は伊勢さんが提案する新概念「複層化」へ。コンセプトとモノが界面で互いを作り変えていく——ものづくりの思想的意義を可視化する、生まれたての概念に立ち会う回。

技術多様性宇宙技芸図と地和魂洋才の失敗複層化
072026年9月7日(月)

環境はいかに私たちを作るのか──ギブソンのアフォーダンスから考える技術の本質

染谷昌義(北海道大学 人間知・脳・AI研究教育センター)

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生態心理学の哲学者にして、北海道で自給的な暮らしを実践する染谷昌義さんの回。『絶滅危惧動作図鑑』——マッチを擦る、切符を切る、黒電話——から始まり、道具の変化は生き様の絶滅と創造だと体感させたうえで、アフォーダンス=環境が差し出す「できる」へ。道具とは環境の改変・構造化であり、人と環境は「作られたものから作るものへ」循環する(西田・ギブソンの出会い)。終盤はテクノロジーによる世界のメニュー化——あらかじめ決められた選択だけでは経験と行為は成長しない——というリードの問題提起がAIエージェント時代に刺さる。技術とはart of living(生命の技芸)である。

絶滅危惧動作図鑑アフォーダンス環境の改変としての道具世界のメニュー化生命の技芸
082026年9月14日(月)

私たちは、いかに「生きる」ということをつくることができるのか──技術の根源的問題と正面から向き合うために

七沢智樹/原島大輔(立教大学現代心理学部 映像身体学科)

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第1回と同じ2人による総括の最終回。7回分の講義が実はひとつの場所——惑星的普遍技術と惑星的普遍倫理——への伏線だったことが明かされる。技術の基層・原初のサイボーグ・野生のサイバネティクスの3ステップ、眠っている技術を掘り出す価値(車輪の再発明でよい)、テックキャンプの学生が3時間で躍動し始めた異なる身体の話から、「テクノロジーを内側から破る」へ。原島は、哲学が《おどろき》から始まったのなら新たな技術哲学は《かなしみ》から始まると提示し、レビナス・デリダ・バトラーを経て悲嘆可能性の惑星化という指針に至る。結びは「惑星的普遍技術によって、惑星的普遍倫理が実現する」。

惑星的普遍技術惑星的普遍倫理異なる身体眠っている技術悲嘆可能性の惑星化

ASSIGNMENT最終課題

最終課題 テクノロジーの問題を、根源から分析する

問題の整理 → 背景の整理 → あなたの実践 → 分析 の4ステップ。第8回で提示した最終課題のページ版。形式自由・再提出可。提出は2027年3月末まで(表彰の対象)。

各レポートは講義アーカイブ動画の自動文字起こしとスクリーンショットから生成したまとめです。発言の要旨は文字起こしに基づき編集していますが、細部のニュアンスは実際の講義動画をご確認ください。受講生の氏名・発言は匿名化しています。