INTROこの課題について
8回かけて、7人の哲学者とともにやってきたのは、「つくる」を哲学からアンラーンすることでした。技術やテクノロジーが「このようなものである」と捉えられてきたこと自体を知らなければ、アンラーンのしようがない——その捉え方に哲学は深く関わってきました。最終回では、解体の先にある場所として惑星的普遍技術と惑星的普遍倫理の話をしました。
この課題は、その道具箱を使って、身近なテクノロジーの問題をひとつ、根源から分析する課題です。知識を再現する課題ではありません。第2回から第7回までの概念(ゲシュテル、質料-形相論、技術決定論、技術的媒介、宇宙技芸、アフォーダンス、メニュー化……)を、自分の切実な問題に当ててみる。そして、自分がすでに始めている実践を、その概念で検査する。ここが技術哲学の腕の見せどころです。
ASSIGNMENT課題──4つのステップ
STEP 01
問題の整理Problem
- 技術の一つのあり方である「テクノロジー」が引き起こしている問題を、ひとつ選んで整理してください。
ヒント:経験のメニュー化、人間のデータ化、技術の均質化、かり立て——身近で切実なものほどよい。「社会問題」として大きく構えるより、自分の暮らしや仕事の中で実際に起きていることから選んでください。
STEP 02
背景の整理Background
- そのテクノロジーを形作っている思想・神話・世界観を整理してください。
ヒント:そのテクノロジーは、どんな普遍《論理》(規格・効率・進歩・人間中心主義)を体現しているか。8回分の概念が道具箱です——ゲシュテル(第3回)、質料-形相論と宇宙技芸(第6回)、技術決定論と社会構成主義(第4回)、技術的媒介(第5回)、アフォーダンスとメニュー化(第7回)……。
STEP 03
あなたの実践Practice
- その問題を乗り越えるために、すでに行っていることと、今後実行しようとしていることを書いてください。
ヒント:惑星的普遍技術の視点で——眠っている技術を掘り出す(車輪の再発明でよい)、道具を選び直して環境を改変する、自然との往復で異なる身体を獲得する。大きな計画でなくてよい。すでに始めている小さなことを、まず書いてください。
STEP 04
分析Analysis
- それらが本当に問題を乗り越える力になるのかを、自分で分析してください。
ヒント:惑星的普遍倫理の視点で——その実践は、生命の生態系を豊かにする方向に働くか。メニューの外をつくり“続け”られるか。倫理は物のかたちに宿り(第2回)、設計は物質を介した倫理の実施(第5回)。STEP 03の実践を、STEP 02の概念で検査する——ここが技術哲学の腕の見せどころです。
FORMAT形式と分量
- 形式は自由です。文章(A4で2〜3枚程度が目安)、スライド、映像、写真、図——どれでも構いません。4つのステップが辿れる形になっていれば大丈夫です。
- 上手さは問いません。哲学者の名前や用語を正しく使えているかより、自分の問題に概念が本当に当たっているかを見ます。
- 枠組みへの反論から始めても構いません。「惑星的普遍技術」「惑星的普遍倫理」という言い方自体への違和感を出発点にして、別のフレームを提案していただいてもかまいません。
- 余力のある方へ。STEP 03の実践を実際に一歩進めて、世界から何が返ってきたかを書き足してください。必須ではありません。
SUBMISSION提出について
提出期限は設けていません。ただし表彰の対象となるのは、2027年3月末までにご提出いただいたものです。
一度出して、あとで考えが深まったら再提出できます。むしろ推奨します。技術史・技術の人類学・フィールド講義と進むなかで実践が変わったら、STEP 03・04を書き直して出し直してください。
お名前と提出ファイルをアップロードするだけです。Word・PDF・スライド・動画・画像など形式は問いません(5ファイルまで、1ファイル100MB以内が目安)。アップロードにはGoogleアカウントへのログインが必要です。再提出も同じフォームからどうぞ。
最終課題を提出する↗POINTS取り組むときの視点
評価というより、書き終えたあとに自分で確かめるためのものとして挙げておきます。
- 問題は切実か。自分の暮らしや仕事の中で実際に起きていることから選べているか。
- 概念が当たっているか。用語を並べるのではなく、その概念でなければ見えないものが見えているか。
- 実践は始まっているか。構想ではなく、すでに手を動かしていることが一つでも書けているか。
- 自分の実践を疑えているか。STEP 04で、自分の実践が「もう一つのメニュー」になる可能性まで検査できているか。
- 分からなさを抱えられているか。きれいにまとめきらず、考え続けている状態が残っているか。それはこの科目では欠点ではありません。
答えは必ずメニューになります。だから、つくり続けてください。第8回・最終回のFinal Messageより
MATERIALS参考資料
- 第8回まとめレポート──惑星的普遍技術に至る3つのステップ、技術の基層、原初のサイボーグ、野生のサイバネティクス、惑星的普遍倫理。この課題の直接の背景です。
- 第8回スライド──最終課題を出した回のスライド。「3 — 04 Final Assignment」に原文があります。
- 全8回のまとめレポート一覧──STEP 02で概念を道具箱から取り出すときに。