makers Unlearn 2026 | 技術史

最終課題
技術を、語り直す

3つの課題から、1つを選んでください

形式
自由(A4で1〜2枚程度)
提出
随時/再提出可
表彰対象
2027年3月末までの提出分

INTROこの課題について

全8回でやってきたのは、技術史を「石器からAIへ」の一本線ではなく、身体・暮らし・場・社会との関係を何度も組み替えてきた網の目として捉え直すことでした。第1回で言ったように、私たちの日常には旧石器時代のままの技術が転がっていて、眠っている技術を掘り起こすことは新しい技術を開発することと同じ価値があります。

この課題は、その捉え直しを、自分の手で一度やってみる課題です。3つの課題から1つを選んでください。課題1・課題2はテーマを決めてあります。課題3は自由に問いを立てる課題です。どれも、大きなテーマは要りません。毎日使っているもの、いつも見ているものが、いちばん良い入口です。

課題 1足元の技術史毎日使っている技術を一つ選び、自分→家と地域→人類と遡って、小さな技術史を書く。 課題 2名詞ではなく、形容詞で身の回りのものを形容詞で捉え直し、別の形容詞でもう一度捉えて、何が変わるかを書く。

ASSIGNMENT 1足元の技術史毎日使っているものを、一つだけ遡る

STEP 01

見つけるFind

例:包丁で皮をむく/洗濯物を干す/湯を沸かす/靴ひもを結ぶ/ご飯を炊く/縫う/鍵をかける。選ぶ目安は、自分でできて、ふだん意識しておらず、誰に教わったかはっきり思い出せないもの。

STEP 02

遡るTrace back

①自分の層——いつ、誰から、どう覚えたか。昔の道具と今の道具。 ②家と地域の層——親や祖父母、近所の人はどうしていたか(一人に聞ければ十分。第5回の聞き書き)。 ③人類の層——その技術はいつ、どこで、何から始まったか。何を置き換え、何に置き換えられつつあるか。
三つ全部を同じ深さで掘る必要はありません。どこか一層が深ければ、それでよい。

STEP 03

語り直すRetell

書くときの手がかり:四つのジレンマ(内でも外でもある/拡張するほど失う/見えなくなる/止まれない)のどれが、この技術にいちばん効いているか(第1回)。ニーズが消えると何が退化し、失われるか(第4回)。眠っている技術——使われなくなった別のやり方——はどこにあるか(第1回)。最後に一行、「技術とは何か」に自分の言葉で答えてください。
余力があれば、一度だけ条件を変えて同じことをやってみてください(ピーラーなしで皮をむく、など)。必須ではありません。

ASSIGNMENT 2名詞ではなく、形容詞で身の回りのものを、形容詞で捉え直す

第3回で相馬さんは、縄文の知性を「ちぎれない草」「ザラザラした石」——名詞ではなく形容詞で世界を捉える見方として示しました。名前がつく前に、人は性質に触れていた。実際、私たちが名詞だと思っているものの多くは、形容詞から来ています。

名前隠れている形容詞
アカマツ/クロマツ、シロアリ、アオサギ赤い・黒い・白い・青い——色で見分けた名残
ヒラメ、マルタ(丸太)、ナガイモ、オオバコ平たい・丸い・長い・大きい——形で捉えた名残
ナガサ(マタギの山刀)、ウスバ(薄刃)、ヒラノミ/マルノミ長い・薄い・平らな・丸い——道具は形容詞で呼び分けられてきた
軽自動車、薄型テレビ、白物家電、高速道路、新幹線軽い・薄い・白い・速い・新しい——いまの製品名にも形容詞は残っている
ハードウェア/ソフトウェア、スマートフォン硬い・柔らかい・賢い——英語でも同じ

つまり、ものを形容詞で捉えることは、特別な方法ではなく、技術がずっとやってきたことです。この課題では、それをいま目の前にあるものに対して、意識的にやってみます。

STEP 01

形容詞で捉えるAdjectives

自動車AIロボット時計スマートフォン冷蔵庫家服お金道路包丁本

「速い・重い・硬い・冷たい・便利な……」。いま自分に見えているとおりに、素直に書いてください。機能の説明(「人を運ぶ」)や名詞(「乗り物」)は使わない。形容詞だけ。

STEP 02

問い直し、別の形容詞で捉えるOther adjectives

立場の例:100年前の人なら/子どもなら/ウシやイヌなら/それをつくっている人なら/壊れたとき・止まったときなら/狩猟採集の身体なら/100年後の人なら。「速い」が「うるさい」に、「便利な」が「手放せない」に、「賢い」が「見えない」に変わるかもしれません。第1回の「四つのジレンマ」、第7回の「都市は技術開発の実験場だった」を思い出してください。

STEP 03

気づきを書くRetell

これが、一つの技術の語り直しです。形容詞を入れ替えると、そのものの「歴史」の見え方も、これからの「使い方」も変わるはずです。最後に一行、「技術とは何か」に自分の言葉で答えてください。

ASSIGNMENT 3自由に問いを立てるテーマも形式も、自分で決める

課題1・課題2のテーマに縛られず、全8回を通して自分の中に残った問いを一つ立て、それについて考えたことを書いてください。最終回の対談で出た問い(縄文人はなぜ資源化の達人だったのか、集団のスケールと技術の関係、機械は形容詞ではなく動詞で捉えるべきか、など)を持ち帰って続きを考えるのでも、講義とは別の自分の現場から立てた問いでもかまいません。

STEP 01

問いを一つ決めるAsk

大きな問いより、自分の暮らしや仕事に触れている問いのほうが、書きやすく、深まります。

STEP 02

考えたことを書くThink

最後に一行、「技術とは何か」に自分の言葉で答えてください。

FORMAT形式と分量

SUBMISSION提出について

提出期限は設けていません。ただし表彰の対象となるのは、2027年3月末までにご提出いただいたものです。

一度出して、あとで考えが深まったら再提出できます。技術の人類学・デザイン論・森で考えるのあとに深まったら、書き直して出し直してください。

提出はこちらのフォームから

フォームの質問に沿って書き込むだけで提出できます(課題1・課題2・課題3のどれかを選ぶと、その課題の欄だけが出ます)。Googleアカウントでログインすると、あとから回答を編集して出し直せます。写真や図がある場合は、Googleドライブ等の共有リンクを所定の欄に貼ってください。

最終課題を提出する↗

POINTS取り組むときの視点

評価というより、書き終えたあとに自分で確かめるためのものとして挙げておきます。

縄文には戻れないが、その視点からテクノロジーを内側から破ることはできる。第1回より

MATERIALS参考資料

この課題は、第8回(2026年10月19日・最終回)の内容を踏まえて作成したものです。質問はDiscordで受け付けています。