INTROこの課題について
全8回を通してこの科目がやってきたのは、未来を予測することではなく、未来を考えるときに使っている前提のほうを剥がすことでした。最終回のワークで一周したサイクルを、今度は時間をかけて、もう一周深くやってみてください。
順番には意味があります。いきなり未来像から描き始めると、たいてい「いまの延長線上の、少しよくなった世界」になります。だからまず自分がすでにつくっているものから出発し、それを人類史の深さまで遡り、働いている本能を見つけ、その本能を向け直してから、その先を描く。頭で構想したものからは、構想した以上のものは出てきません。
ASSIGNMENT課題──3つのステップ
STEP 01
遡るNot Now
- あなたが「つくって」いるものは何ですか。
- 名づけを変えると、それはいつまで遡れますか。
- そこには、どの本能が働いていますか。
本能とは、順応主義(まわりに合わせ、集団の型を写しとる)・宗教性(見えないものを信じる)・部族主義(内と外を分ける)、そしてその下にある深い層=生存の本能(食べる、身を守る、道具をつくり技を伝える)のことです。名づけの変更が効きます。「イベント運営」と書けば最近の営みですが、「儀礼」と捉え直せばずっと古くまで遡れる。同じものでも、名づけを変えると遡る先が変わり、見えてくる本能が変わります。
STEP 02
向け直すReframing
- その本能を、創造を止める側から可能にする側へ、群れから惑星のスケールへ向け直すと、あなたは何をつくることになりますか。
本能は敵ではなく両刃です。順応主義は「みんなと同じものしかつくれない」働きであると同時に、技術が受け継がれ積み上がる条件でもある。宗教性は前提を見えなくすると同時に、まだ無いものを信じる力でもある。部族主義は分断を生むと同時に、大きなものを共同でつくる強度を生む。消すのではなく、向け直す。
「まるで◯◯であるかのように(As if)」の型で書いてみてください。もしも(What if)は、まだ願っている段階です。〜かのように(As if)は、あたかもその世界に住んでいるかのように振る舞うことで、認識のほうを変えていく態度です。
STEP 03
描くNot Here
- その「つくる」が続いた先の未来像を、ひとつ描いてください。
現在からの予測(外挿)ではなく、ここでもなく、いまでもない場所から。時間軸の先ではなく「いま同時にありうる、もうひとつの現在」として描くと、「まだ先の話」という逃げ道が塞がります。
コツがひとつあります。前提はひとつだけ差し替えること。ふたつ以上動かすと、読む人はどこが変わった世界なのか読めなくなり、ただの絵空事に見えます。差し替えはひとつでいい。そのかわり、その世界の日常の手触り(誰が、どんな場所で、どんな顔でそれをしているか)まで具体的に書いてください。具体性を上げるほど、問いは強くなります。
→ 詳しくは参考資料「A/BからC/Dへ」(C/Dリスト全19行とセルフチェック)をご覧ください。
FORMAT形式と分量
- 形式は自由です。文章(A4で2〜3枚程度が目安)、スライド、映像、写真、図、詩、実物——どれでも構いません。3つのステップが辿れる形になっていれば大丈夫です。
- 上手さは問いません。この科目は「つくる」を、能力の証明ではなく世界への応答として再定義しました。完成度を競う課題ではありません。
- 枠組みへの反論から始めても構いません。3つの本能という枠組み自体、惑星的想像力という言い方自体への違和感を出発点にして、別のフレームを提案していただいてもかまいません。最終回が、まとまらない3つの視点の重なりで閉じたことと同じ意味で。
- 余力のある方へ。描いた未来に向けた「最初の一歩」を実際にやってみて、世界から何が返ってきたかを書き足していただくと、この科目の結論そのものになります。必須ではありません。
SUBMISSION提出について
提出期限は設けていません。ただし表彰の対象となるのは、2027年3月末までにご提出いただいたものです。
一度出して、あとで考えが深まったら再提出できます。むしろ推奨します。まず思考がホットなうちに軽く出し、技術哲学・技術史・技術の人類学・デザイン論と進むなかで深まったら、書き直して出し直す——そういう使い方をしてください。
お名前と提出ファイルをアップロードするだけです。Word・PDF・スライド・動画・画像など形式は問いません(5ファイルまで、1ファイル100MB以内が目安)。アップロードにはGoogleアカウントへのログインが必要です。再提出も同じフォームからどうぞ。
最終課題を提出する↗POINTS取り組むときの視点
評価というより、書き終えたあとに自分で確かめるためのものとして挙げておきます。
- 前提をどれだけ剥がせたか。書き上げたものが、講義前の自分でも書けた内容になっていないか。
- 遡りの深さ。「最近の仕事」で止まらず、人類がずっとやってきた営みの層まで降りられたか。
- 向け直しの飛距離。群れのスケールから、どこまで射程を広げられたか。
- 描いた未来の具体性。抽象的な理想ではなく、その世界の日常の手触りが書けているか。
- 分からなさを抱えられているか。きれいにまとめきらず、考え続けている状態が残っているか。それはこの科目では欠点ではありません。
分からないでいいから、みんなで考えようぜ。第8回・最終回の締めくくりより
MATERIALS参考資料
- 最終課題 参考資料|A/BからC/Dへ──ステップ3「描く」のための資料。C/Dリスト全19行、前提をひとつだけ差し替えるルール、セルフチェック5問。
- 第8回まとめレポート──3つの本能、深い層、惑星的想像力、As ifのリフレーミング。この課題の直接の背景です。
- 全8回のまとめレポート一覧──ステップ1で自分の「つくる」を振り返るときに。