MACHINE CONSCIOUSNESS 2026 | DAY2 講演

染谷昌義「モア・ザン・神経生物の意識――アニマシー心理学と「いのち」の生態学」

2026年10月25日(日)15:12–16:15 | 意識研究財団 カンファレンス「マシン・コンシャスネス」

AIまとめ(登壇者本人の確認なし)
Zoomの自動字幕と、それをもとにした実況投稿から、AIがまとめ、別のAIが字幕と突き合わせて確認したものです。登壇者ご本人の確認は受けていません。字幕の誤認識などにより、内容に誤りを含むことがあります。スライド画像は配信画面から切り出したものです。

生態心理学(ギブソンの系譜)に取り組んできた染谷さんは、「胃や腸がなくても消化はできるのに、脳や神経がなければ意識や心のはたらきはないと考えるのはなぜか」と問い、神経系をもたない生物(とくに植物)の知覚と行動をめぐる研究を紹介しました。植物神経生物学の誕生と論争、つる植物ボキラがプラスチックの葉にまで似てくるという「カメレオン植物論争」、エンドウのつるが支柱に触れる前から動きを変える実験、細胞基盤意識仮説や基底認知(ベーサル・コグニション)などを取り上げ、生きることと心のはたらきを連続化・同一化する動きが起きていると整理。自身はこれを「アニマシー心理学」と呼びます。心のはたらきの本質を、自分の視点から周囲を感受し、自分と環境との関係を選んで変えること(心の生態学的性格)に見たうえで、AIやロボットには、その生態学的性格も、生命(生きていること)も、生き続けるための周囲の価値づけも見えない(三つは同じことの言い換え)、と述べました。最後に、予想される五つの疑問に答え、質疑ではAIの条件、土の生命性、植物の自己同一性、時間スケール、組み合わせ問題などが議論されました。

1. 問い:神経がなくても心ははたらくか

スライド:神経中心主義への疑問 モア・ザン・神経生物(胃や腸をもたない生物は消化・吸収できないのか/脳や神経系をもたない生物は意識したり心のはたらきを行使したりできないのか)
配信画面より

2. 心・意識の前提を問い直す

スライド:ねらい(意識や心のはたらきを議論する流行/排除や沈黙が強いられる/ていねい、かつ、ささやかに抵抗 → 意識や心を思考する観点を変える・広げる)
配信画面より

3. アウトライン

スライド:アウトライン(1. 無神経生物の心のはたらきと意識/2. 心・意識の外延拡張とアニマシー心理学/3. マシン意識への生態学的アプローチ/4. 予想される疑問への応答)
配信画面より

4. 植物神経生物学(プラント・ニューロバイオロジー)

スライド:Communication in Plants: Neuronal aspects of plant life(2006)序文の引用
配信画面より

5. 植物の生体電気シグナリング

スライド:師管をとおした生体電気シグナリング(活動電位)/Defense reaction based on calcium ion signaling(Toyota et al. 2018)/NHK『超・進化論』
配信画面より

6. カメレオン植物論争

スライド:カメレオン植物論争 Boquila trifoliata(Gianoli and Carrasco-Urra 2014)V: the vine / T: the host tree
配信画面より
スライド:模倣メカニズムについての仮説(1. 揮発性化学物質の受容/2. 遺伝子の水平移動/3. 微生物群叢の付着 Gianoli et al., 2021/4. 視覚仮説:葉上眼による植物固有の視覚 White & Yamashita, 2022)
配信画面より

7. プラスチックの葉にも似てくる?

スライド:White's experimental setup(人工つると模倣葉、J. White, F. Yamashita, Plant Signal Behav, 2022)
配信画面より

8. エンドウのつるは支柱を「知っている」?

スライド:ツル性植物(エンドウ)ホスト探索行動(生長運動制御)Guerra et al., 2019(No stimulus / 3D stimulus / 2D stimulus の各条件)
配信画面より
スライド:巻きひげの平均速度(支柱あり1.90mm/分・支柱なし0.88mm/分)、支柱に触れる前に回旋運動の変化、仮説(①視覚 ②化学的シグナル受容 ③エコロケーション)
配信画面より

9. 植物の意識:行動観察からの経験的裏づけ

スライド:植物の意識 つづき【行動観察からの経験的裏づけ】(①麻酔や睡眠による活動停止・休眠状態 ②ストレス反応や回避反応 ③多数の環境パラメータへの感受性、統合、生長行動調整と制御/Calvo et al.)
配信画面より

10. 細胞の意識と、基底認知(ベーサル・コグニション)

スライド:細胞の意識 意識の細胞基盤モデル/仮説 CBCモデル(Reber 2019 ほか)
配信画面より
スライド:basal cognition / minimal cognition(基底認知/最小認知)(日経サイエンス 2025年8月号 特集「認知の原点を探る」ほか)
配信画面より

11. まとめ:アニマシー心理学

スライド:まとめ 無神経生物の知覚と行動(1. 心のはたらき・意識の外延拡張/2. 環境を「意識」し自己と環境との関係を変える・行動する/3. 生きることと心のはたらきとの連続化・同一化、アニマシー心理学(染谷、2024)いのちとこころの同一性)
配信画面より

12. 心のはたらきの生態学的性格

スライド:心のはたらきの生態学的性格(知覚と行為:自己視点〔いま・ここ〕からの周囲を意識し、自己と周囲との関係を選び変える/自分ごととしての生きる過程/周囲は価値づけられる)
配信画面より

13. マシン意識への生態学的アプローチ

スライド:3. マシン意識への生態学的アプローチ AIやロボット(フィジカルAI)への不満(①生態学的性格の不在 ②生命〔生きていること〕の不在・・・生きていない〔死んでもいない〕 ③周囲と関わり続けるための〔生の持続のための〕周囲の価値づけの不在/①〜③は同じことの言い換え)
配信画面より

14. あり得る疑問への応答

スライド:4. あり得る疑問 ①生命と意識・心との関係、意識・心の生態学的性格は偶然的である。生命なき意識・心はあり得る(かもしれない)
配信画面より
スライド:あり得る疑問 ②植物の知覚や行動は、遺伝的にプログラムされた固定的な反応ルール/非常に精巧な自動反射であり、神経系のある人間・動物とは種的に異なる → 植物なりの柔軟性、可塑性、学習性が、その限界も含め、今後ますます明らかにされるはず
配信画面より
スライド:あり得る疑問 ③植物の知覚は意識的ではなく、無意識的ではないか? → そうなります。しかし、意識的なものと無意識的なものを排他的に捉える見方には、バイアスを覚えます。ヒトであっても、歩行時に足は床を「意識」していませんか?
配信画面より
スライド:あり得る疑問 ④植物のアクセス意識(認知)を主題にしているのであって、現象意識に取り組んでいないのではないか? → Block(1995)による区別から30年を過ぎて、そろそろ、この区別を見直しませんか? 意識なき認知はあり得るのでしょうか。それはゾンビの可能性です
配信画面より
スライド:あり得る疑問 ⑤擬人主義、擬動物主義である(ビュルガ, 2021)→ 人間・動物中心的な心理学的概念を相対化し、心や意識の多様性を認めよう! この種の批判の方が、人間・動物中心の心理学的概念に固執していないでしょうか
配信画面より

15. 質疑応答から